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3-04&05 「特命係復活」

「そうね、私、女優だもんね。演じるのは得意よ」
「だって、私、女優だもの。演じることは得意だものね」


3rd-4話,5話「女優~前編」「女優~後編」


DVDを持っていても『相棒』は再放送やっているとついつい見てしまいますね。そんな「女優」の回の話です。

割と最近再放送があって、関西では珍しく2サスの再放送枠を使って2時間連続で見せてもらえたのですが、この話は前後編連続で見たほう、2回、3回と内容を知った上で見たほうが色々発見があって面白いなあと思いました。つまりこの再放送で見たら面白かった、というわけです(笑)。



この話がガチ近親相姦なわりには真相が発覚してもそれほど驚きがないのは、視聴者にとって「古谷は夫」だという認識の時点でも夕月が全力で古谷を嫌っている(様に見える)からでしょう。あれだけ夕月が古谷を嫌っていたら、夫だろうが実は父親だろうが関係ないよなあという気がします。
あるいは倒叙型ではなく、殺害の場面を描かずに犯人を隠していたら、「犯人当てという推理」と「動機当てという推理」がセットに結びついている中で「動機」の方だけ切り離される(犯人わかったけど動機はちがったのかー、みたいな)ことにより「夫だと思っていた男が実は父親だった」という驚きが生きたのではないかと思うのですが、そのことも踏まえて、では倒叙型として「女優」で描かれていたものはなんだろうと考えてみると、それは単純に

「情夫と一緒になるために夫を殺した毒婦だと思っていた女は実はそうではなく、彼女の方も被害者で苦しんだ末に行った殺人だった」

という価値観の逆転劇といったものだけではなく、

「『夫』を殺害することによって『妻』を演じなくてよくなったはずなのに、それでもまだ『妻』を演じ続けなければならない『女優』をとりまく物語」

みたいなものだったのではないかと。

夕月がマネージャーの松永との結婚を発表した時に松永が「君はもう少し、悲しみに打ちひしがれる未亡人を演じなければならないんだ」と言った(言ってしまった)ように、夕月が古谷を殺した犯人だと「世間や警察」に疑われないでいるためには、古谷が死んだだけでは終わりではなくこの先も「もう暫く」あるいは「ずっと」夕月は「古谷の妻」を演じねばならず、彼女が演じることをやめることはイコール殺人が表沙汰になるということになります。
殺人を隠すことと、「古谷の妻」という演技をやめたいということの間で揺れ動く夕月。
無謀ともいえる結婚発表の記者会見の場で夕月が見せた笑顔は「古谷の妻」の演技をやめた夕月が愛する人との結婚を報告するという、一般的に言うなら「最高に幸せな笑顔」なのでしょう。・・・・・・・・・視聴者や「世間や警察」にとっては、古谷を殺しておいて(夫が死んでいて)あの笑顔かよ! という空恐ろしさを感じる笑顔でもあるのですが。

そして作中ではひとり、そんな「世間や警察」の「刺激的で下世話でわかりやすいストーリー」とは全く違う点から夕月を疑った人物がいました。固定観念にとらわれず、それでいて重箱の隅をつつくかのような細かいところをネチネチと気にするあの人が。こういう事件を解決する話が、輿水脚本の『相棒』なんでしょう。

サブタイトルもそのものずばり「女優」で、ずっと夕月が話の中心に描かれている物語ですが、ラストに右京さんが松永に「殺人を持ちかけたのはあなたの方ではないか」と尋ねるセリフによって、マネージャーの彼の方もゆるやかに「物語の主役の『女優』に振り回されていた愛人」から「愛する人を救うために明確な意思を持って行動した男」に見え方が変わるところが好きです。

冒頭のセリフの引用は、先のものは「前編」で松永に説得され、もう暫く「悲しみに打ちひしがれる未亡人」を演じると返事を返した時の夕月のもの、後のものは「後編」での真相解明時、絶望から「古谷の妻」を演じることにした過去の自分についてを語っている時のものです。同じようなセリフでも、後編の方のセリフはかつて「古谷の妻を演じていた私」について「他人事」を話すように変わっているところがなんとも。


ところで、以上は「女優・小峰夕月」サイドの物語ですが、この「女優」の回の前編&後編ではもうひとつのメインとして、前回までの2時間SP+話分で廃止されてしまった特命係が復活するという「特命係」サイドの物語もあります。

倒叙型だから犯人が夕月と松永だと視聴者には判明している中であっさり夕月の悲しむ演技に引っかかる亀山やっぱ一人じゃ頼りねえwwwwといったところや「女優」に対抗するために亀山をも利用する右京さんの酷さ、それを見抜いたさすが鑑識のプロ米沢さん、亀山を利用したことを少しは悪いと思ったのかマンションに迎えに来た右京さんに、「女優」の事件から美和子との結婚のことを考える亀山、そしてついにキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!! 特命係復活!! と、こちらの方も見どころは盛りだくさんなのですが、「特命係の復活」というと思い出す話がもうひとつ。2nd-02話の、サブタイトルはそのままズバリ「特命係復活」。

3rdシーズンでの特命係が復活する物語であるこの「女優」の回の事件は、2ndシーズンでの特命係が復活する物語である2nd-1話「ロンドンからの帰還 ベラドンナの赤い罠」および2nd-2話「特命係復活」の小暮ひとみの事件とモチーフが似ていると思います。というか、「女優」での右京さんの

「しかし僕は、お芝居が上手くありませんから。彼女のように、真っ赤な嘘をまるで本当のことのように上手に語ることは出来ません」

というセリフを聞いてふと「特命係復活」のラストでの右京さんの

「嘘の涙ならばいつまでも見ていられますが、真実の涙は、辛いですねえ」

というセリフを思い出したというか。それで、ああ、そういえば、こっちは父の娘への近親相姦の話だったけどあっちは娘の父に対する強烈なファザコンな話だったなあとか、小暮ひとみの方の話も小野田に特命を復活させてもらう話だったなあとか。


まあそんな感じで、再放送で「女優」を見て、そういうようなことを考えたのでした。

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