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『ウルトラ・ダラー』

/手嶋龍一 (新潮社)

タイトルになっている「ウルトラ・ダラー」とはメイドイン・ノースコリアの100ドル札のことです。ダブリンで発見された新種の偽100ドル札を追う主人公の英国情報部員スティーブン・ブラッドレーの物語を通じて描かれる、国家間の壮大な機密情報戦争・・・・・・というようなお話です。外交とかスパイとか北朝鮮だとか、そういうジャンルのお話です。
で、なんでこの本についてが「カテゴリ:相棒周辺」に突っ込んであるのかといいますと櫻井さんが褒めてたからですよ。

私、この手の方面の(も)知識には疎いんで、あの人のモデルが田中均氏なんだろうなあという程度レベルの話しかわからず、まず間違いなくこの本の面白さの8割方を損してると思うのですが、残り2割しか享受できてなくとも十分面白かったです。

小説としては、多分私にそっち方面のリアリティさやらを感じる知識もフィクションモノとしてのこのジャンルの知識というか慣れ親しみ度も圧倒的に不足してる分、逆に普通にエンタテイメントとして楽しめまして、エピローグに入ってからの急展開が一番ワクワクしたり、あのオチとかも十分アリですし、田中均さん(違う)とか高遠内閣官房副長官といったメイン的な人物だけでなく、ちょっとした登場人物のささやかな人物像や人生像の窺えるエピソードなんかも魅力的でよかったのですが、そのかわり文章が非常に回りくどかったり、どの人物もセリフが恐ろしく「文章的」で人間同士が会話してるようにはとてもじゃないが思えなかったりと、そういうあたりはちょっと気になりました。まあ、そこら辺も独特の味になってるかな、とか許せる範囲ではありましたが。

で、まあ、そんな自分ですが、唯一この小説の中で「普通レベルに知識はある!」といえるのが競馬に関する話題でして、登場人物の中に財をなして馬主になったという人がいて、その人がらみで色々と競馬に関するあれやこれやの話題が出てくるので、せっかくなんで一応競馬ヲタの端くれらしさを生かして出てきた競馬関連のことにちょっと触れてみようかと。
といっても、自分にも知識があるからといってドラマやら小説やらのフィクションモノで「現実とアレがちがう!」とかツッコミを入れるだけの無粋な行いは個人的にあまり好きではないので、本当に、競馬方面の「瀧澤局長=田中均(あ、言っちゃったw)」というような、モトネタ当てやら解説といった、以下はそういう話です。


大井競馬場P141
東京都品川区にある地方競馬の代表的な競馬場のひとつ。JRA(日本中央競馬会)が主催する「中央競馬」と違い「地方競馬」は地方公共団体などが主催するので「公営競馬」と呼ばれることも。「中央競馬」が基本土日開催なのに対し「地方競馬」は平日もやっているので橋浦は得意先を回った帰りに立ち寄れたんでしょう。

アカネテンリュウP142
春シーズンの間はさっぱりだった馬が夏を越えて急激に強くなることを「夏の上がり馬」と呼ぶのですが、古い人の間では「夏の上がり馬」の代表といえばアカネテンリュウ、菊花賞のダークホースといえば第二のアカネテンリュウを捜せ、ですよ。
旧4歳時の戦歴は大体本に載っていた通りです。その後も長く活躍してAJC杯や日本経済賞、目黒記念(秋)などに勝利。スピードシンボリの有馬記念2年連続2着は両方とも名勝負として語り継がれています。

ノーザンファームP143
社台グループの次男・吉田勝己氏が運営する超有名なサラブレッド生産牧場。主な生産馬はディープインパクトなど。
社台のせいですっかりこういう小説なんかで金もってる馬主が訪れる馬産地といえば日高じゃなくて早来になっちゃったのか・・・とか、感慨深い。『優駿』のオラシオンは静内でしたっけ。

ハイハットP144
海外競馬には詳しくないので、フジノハイハット、カンパーリの父というぐらいの知識しかないですよ。手元にある『サラブレッド血統辞典』(二見書房)によるとウィンストン・チャーチル卿の持ち馬の代表馬の一頭なんだとか。
アカネテンリュウの父チャイナロックといい、Hyperionの血統の馬の名前が上がるところが時代を感じさせてくれていいですな。

重賞レースに出走するその日P145
「東京競馬場」
「紅葉も盛りを過ぎて、早くも冬の訪れを感じさせていた」
「グレードワン・レース」
「10レースの後にメインレース」
といったところや2ヵ月後に香港で国際競争が控えている事、橋浦がかつて出会った予想屋のおばあちゃんのセリフからも「天皇賞・秋」だろうと推測できます。

サイレントギャラクシーP150
サイレントディテクターP150
父サンデーサイレンス、母ベガ、早来・ノーザンファーム生産。
血統の設定的には、ダービー馬アドマイヤベガ、セントライト記念勝ちのアドマイヤボス、キャプテンベガの全兄弟でJBCクラシック連覇や帝王賞、フェブラリーS、南部杯、朝日杯FSなど地方中央のG1を勝ちまくったアドマイヤドンとは半兄弟にあたります。母のベガも桜花賞・オークスに勝ち93年の最優秀4歳牝馬(旧年齢)に輝いた名牝。

国際招待レース「ジョッキークラブ・カップ」P155
暮れに香港・シャティン競馬場で行われる香港国際競走の、ヴァース・スプリント・マイル・カップの4競走のうちのどれかと思われます。天皇賞・秋を勝つような馬ならストレートにカップかな。
95年に日本から遠征したフジヤマケンザンが勝利して以来、海外といっても日本から近いという地の利もあって毎年多数の馬の出走登録があります。

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